しかし、それでもSNSを開けば外出先での様子を投稿する人たちも少なくなく、一部では「外出自粛要請が出ていることを知らなかった」という人たちもいたと報じられている。なぜ、これほどまで世界的に危機感が拡大する中、“自粛できない(自制心が働かない)”人がいるのだろうか。
30社を超える企業で産業医を務める大室正志氏は、こう分析している。
「私は、自粛要請に応じない人の多くは、投票に行かない人に重なるのではないのか、という仮説を立てています。投票は国民の義務ではあるものの、行かなかったとしても罰則があるわけではない=行かない自由もある。短期的に見れば、投票に行くことで、貴重な週末の時間を割かなければならないことのほうが“不利益”だと捉える人もいるでしょう。投票に行かないことがいずれどんな不利益を生むのか、中長期的に捉えることができない人たちです。
そして、今外出を自粛できない人たちも、“中長期な不利益を想像できない”という点で、近いところがあると感じます。ざっくりいえば、例えば若者は致死率が低いと考えられていることもあり、中にはその週末遊びに出かけられないことのほうが不利益だと考える人もいる。中長期的に捉えたら、自覚症状のない若者が感染を広めることで医療崩壊によるパニックが起こり、いずれは景気の悪化などを招いて、結果、自身もバイトをクビになったり、就職ができなくなったりするかもしれない……でも、そこまではなかなか想像しにくいのです。
人というのは、多くは“インセンティブの奴隷”ですから、自身にとって不利益のほうが大きいと感じることには自制心が働きにくいんですよ」
大室氏によれば、今回の外出自粛に対する自制心の働きは、健康不安と社会的抑圧の掛け算のバランスに左右されるのではないかという。
なぜ30代の感染者が増えるのか?
「例えば今、40代の、それなりの役職に就いている電通の社員がもしも新橋の個室居酒屋で合コンをしていたとしたら、間違いなくバッシングされますよね? 小池都知事の自粛要請を無視して、上場企業の社長がナイトクラブに行って女性たちと密接な会話を楽しんでいたとしたら、メディアにも書き立てられ、経営者としての信用を失うことになるでしょう。40~50代ともなれば健康不安も大きいですし、みんな“外出して叩かれたくない”“誰かに外出しているところを見られたくない”という思いがあるからこそ、自制心が強く働くのです。対して20代は、まだ健康不安も低くて、かつ社会的地位も低い人が多いですから、抑圧が効きにくいわけです。
じゃあ、60代以上の高齢者はどうかというと、健康不安が高くて、(リタイアしているため)社会的に特定の立場を持たない人が多くいる。「ITmedia ビジネスオンライン」によると外出自粛がでた週末のアンケートで60代が最も活発に外出していたとか。健康不安こそあるものの、彼らはとにかく時間もありますし、世間の目を気にする必要もないため、気が緩みやすい傾向にあるかもしれません」
さらに、東京都が発表した3月25日~4月1日にかけての感染者を世代別に見てみると、416人中、30代が89 人で最多となっている。30代に感染者が増えている理由については、何が要因となっているのだろうか。
「30代の場合、40代以上の人たちに比べると健康不安が低く、かつ20代に比べると“不要不急”の言い訳がつきやすいことが、感染拡大の要因のひとつなのではないかと考えています。外食をする際にも『仕事で会わないといけないから仕方ないよね』と言い訳できるし、『仕事のために出かけたところたまたま』と枕詞をつければ、目黒川の桜の写真をSNSにアップすることに罪悪感を抱くこともない。もちろん、本当に必要な仕事で仕方なくという方も大勢いるでしょう。ただ、拡大の引き金の一因として『30代は言い訳がつきやすい人が多い』ということも僕は考えられるのではないかと思っています」
では、危機感を持って自制心を働かせていくためには、どうしたらいいのだろうか。
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Source: ダイエット速報@2ちゃんねる
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