4月8日に発売された大正製薬の内臓脂肪減少薬『アライ』が話題になっている。『アライ』は、医師の処方箋無しで薬剤師のいる薬局で購入できる要指導医薬品。肥満に悩む人にとっては救世主になり得るが、服用時の懸念点も指摘されている。【前後編の後編。前編から読む】
『アライ』は実際にはどうやって買えるのか。お腹まわりのぽっちゃり具合が気になる本誌『週刊ポスト』記者(40代)が、発売を心待ちにしていたアライを購入してみた。記者は身長175cmで体重83kg。BMI27.1で肥満1度に該当し、腹囲は約90cm。半年前からジムに通って食生活にも注意しているが、なかなか効果が見られなかった。
アライ購入時は、直近1か月間の生活習慣改善の記録を薬剤師に提出する必要がある。大正製薬の公式サイトから「生活習慣記録用シート」を印刷し、「食事内容」「運動内容」「腹囲」「体重」といった1か月分の必要事項を記入したものを持参して、薬局を訪ねた。
アライを購入したい旨を伝えると薬剤師の指導がスタート。大正製薬の公式サイトにある「チェックシート」(別掲写真)に基づき年齢や生活習慣の改善について尋ねられた。さらにアレルギーの有無や服用薬の確認、副作用や注意点などについて約20分の説明を経て、アライを買うことができた。東中野セント・アンジェラクリニックの植地泰之院長は、服用する上での留意点をこう語る。
「アライを飲むと脂肪に含まれる脂溶性のビタミンA、D、E、K、βカロテンが吸収されなくなり、目や皮膚、関節や骨などに痛みや違和感などの症状が出る可能性があるため、服用中はマルチビタミンサプリを補充することが望ましい。
また、注意すべきは日常的に飲んでいる薬です。例えば、脳梗塞などに用いるEPA製剤には脂肪成分が含まれるのでアライの服用で薬が効かなくなる恐れがある。脂肪成分が含まれる薬かどうかは主治医や薬剤師によく確認する必要があります」
条件をクリアする当人以外の服用は厳禁だ。
「例えば夫が購入したアライを妻や娘がダイエット目当てで服用するケースなどが懸念されます。アライは成長に必要な栄養素やビタミンの吸収を阻害するので、特に18歳未満は絶対に服用してはいけません」(同前)
トランクス派はブリーフに
さらに巷で指摘されるのが「油漏れ問題」だ。ネットの体験談や報道では“オムツ必須“という言葉が躍っているが……。
「アライの副作用として一番気になるのが肛門からの油漏れでしょう。薬の効果によって便中への脂肪排出量が増えるため、本人が気づかないうちに便や油が肛門から漏れ出たり、おならと同時に便漏れが生じたりすることがあります。しかも便漏れは衣類が汚れるだけでなく排泄物特有の強烈な異臭が生じます。移動中に便漏れが生じたら周囲に迷惑がかかってしまうと心配する人も多いはずです」(同前)
大正製薬が実施した臨床試験では「油の漏れ」が34.2%、「便を伴う放屁」が23.3%にみられたという。そのため同社の公式サイトでは無意識のうちに油や便が肛門から出てしまうことへの対処法として、おむつや便漏れパッドを着用することや、おならが出そうな時や便意がある時はすぐにトイレに行くことなどを挙げている。アメリカで製薬会社に勤務していた時にアライを1か月服用したことがある植地院長は、自身の体験をこう語る。
「アメリカでも薬局で薬剤師から買えると評判になっていました。油漏れは自分でも気づかないうちに肛門からタラーッと流れてきます。はじめはラー油のような油で徐々に黒ずんで臭くなってくる。
僕も会議中に自覚なく油漏れして部屋が臭いのかと思いきや、同僚に『君の臭いではないか』と指摘されて座っていた椅子を確認すると油が光っていたこともありました。対策としての便漏れパッドを固定するには緩やかな穿き心地のトランクスやボクサーパンツでは難しく、ブリーフに変える必要がありました」
食事の影響も大きいようだ。植地院長が続ける。
「和食だと割と平和に過ごせましたが、中華やフライドチキンのような油の多いものを食べると便漏れも増えることがわかったので、脂肪分の多い食事を避けるなどの工夫をしました」
なによりアライはただ服用するだけでは十分な効果を期待できない。服用の条件として、運動や食事などの生活習慣を改善する努力の継続が求められている。
「でも、運動をしようとお腹に力を入れると油漏れしやすくなるんです。そうした細かな点にも配慮してほしい」(同前)
“夢の薬“と地道な努力で、今度こそ肥満とお別れできるか。
https://www.news-postseven.com/archives/20240430_1958557.html?DETAIL
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Source: ダイエット速報@2ちゃんねる
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