細胞の老化を防ぐ抗酸化力は緑茶の約3倍といい、児玉教授は「身近にあって体にいい。鳥取への地域貢献のためにも、商品化に結びつけたい」と意気込む。
児玉教授の専門は植物病理学。鳥取大に助手として赴任した1985年から、梨が持つ病害への抵抗力を研究し、98年に葉が多量のポリフェノール「3,5―ジカフェオイルキナ酸」を含んでいることを発見した。抗酸化力を示す値は、ポリフェノールの一種、カテキンを含む緑茶の約3倍、サツマイモの約20倍、ブロッコリーの約60倍だった。
当時は、植物の病害を防ぐ農薬に応用する方法を探ったが実現できず、いったん研究を棚上げした。2010年、同大学産学・地域連携推進機構の清水克彦准教授(54)から「食品や化粧品などに応用してはどうか」と提案を受け、「手軽に摂取できるお茶に加工する道を探ろう」と改めて研究を進めたという。
ただ、梨の葉は茶葉のように蒸して天日や温風で乾燥させると黒く変色し、ポリフェノールの効能も消える難点があった。児玉教授の下で働く研究員の赤木靖典さん(39)らが、冷蔵したり電子レンジで加熱したりと試行錯誤し、素早く凍結させるフリーズドライ法なら色や成分が変化しないことを確認。梨果汁などを製造している県内企業の協力を得て、9月にティーバッグの試作品が完成した。
梨ポリフェノール茶は、ティーバッグ1個(1・7グラム)に紅茶をベースに梨の葉30%(0・5グラム)とカモミールやルイボスなどを混ぜ、梨の実も入れて爽やかな香りと後味を実現。10月初旬に東京であった展示会に出展し、ブースを訪れた小売業者らから「意外においしい」「爽快感がある」と好評を得たという。
商品化には、農薬がかかっていない若葉を安定して収穫できる環境づくりが課題だという。児玉教授らは、「梨農家の高齢化で、遊休地になっている梨園の葉を有効活用できれば」と、同大学の農園などで効率的な栽培、収穫方法について研究を進めている。
「ポリフェノールは、植物が自分の体を守るためにため込んでいる物質。病理学の研究が、こんな形で実を結ぶとは思ってもみなかった」と児玉教授。「化粧品や健康に役立つ食品、ペットフードなどにも応用できるよう、さらに研究を重ねたい」と語る。(中田敦之)
http://yomiuri.co.jp/science/20171104-OYT1T50038.html
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Source: ダイエット速報@2ちゃんねる
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